運の良さとは


自分は運が良い、そう思っている方は果たしてどれほどいるでしょうか?
運が良ければ自販機のくじ抽選に当たったり、ある時は赤信号に引っかかることなく進み続けられたり、
突然大きな仕事のオファーが届いたり、そんな風にいい出来事が常に起こっているのでしょう。
仕事もプライベートでもいつもいい機会に恵まれ、夢が実現し、不幸すら幸運に変換できる、そんなふうに
思えてならないのではないでしょうか。
しかしどうでしょう。「運がいい、ラッキーだ」、という出来事は本当に向こうからただただ手元まで
やってくるものだと思っていませんか?
ここで、運について何年も研究していることで有名なイギリスのリチャード・ワイズマン博士の発表を参考にしてみましょう。
運がいい人にいいことが起こる確率が本当に高いのかどうかを調べるため、 自分は運がいいという人と自分は運が悪いという人
合計700人に、宝くじの当選番号を予想してもらいました。 ところが当選番号が発表されて集計してみると、
自称運のいい人と自称悪い人らの当選確率に違いはありませんでした。 つまり運がいい人というのは、
ただ宝くじに当選する自信が高かっただけで、当選率が高くなければ予知能力があるわけでもないことが分かったそうです。
さらに、別の実験で知能テストも行ったところ、頭の良さと運の良さとは関係がないことが分かりました。
これにより、運のいい人に幸運が向こうから回ってくるのではないことが判明したのです。
それではなぜ、運のいい人にはいつもチャンスや幸運なことが回ってくるのでしょう? これを検証するため、
次に博士は自称運がいい人と自称運が悪い人の「行動の違い」を観察しました。
喫茶店の入り口前にお札をわざと置き、店内には偽物の実業家に待機してもらった上で、
運の悪い人と運のいい人の行動の差を観察したのです。
運の悪い人は入り口のお札には全く気付くことなく、席に着きました。さらに店内では実業家の隣に座ったものの、
着席から一言も会話はなく自称運の悪い人はそのまま喫茶店を後にしました。次に運のいい人はというと、
まず入り口でお金に気付いたのでそれを拾って、店内に入ってしばらくすると隣に座った実業家と会話が弾んでいたのです。
このような落ちていたお金に対する行動からは、
運が悪い人→視野と意識が狭い範囲に集中し、チャンスを見逃してしまう
運のいい人→心理的にもリラックスしているからか視野も広く、チャンスに気づきやすい
また、実業家に対する接し方から、運の悪い人はあまり社交的ではなく積極的に他者と関わっていくことが少ないが、
運のいい人はどの場面でも人付き合いを楽しみ、結果として自らが得られるチャンスが広がっていく、
という違いも見つかったというのです。
経営の神様とも言われている松下幸之助も、博士と同様にその感覚を持っていたようです。
松下幸之助は入社の面接の最後に応募者に対して、「あなたは運がいいですか?」と質問していたそうです。
これに対し「自分は運が悪いです」と答えた応募者は、それまでの面接でいくら好印象でも、高学歴であっても
不採用にしていたといいます。 松下幸之助も、自分は運がいいと思っている人は「考え方や行動が違うこと」を
経験則から皮膚感覚で知っており、 その人の考え方を一発で見抜く質問として敢えて聞くようにしていたのかもしれません。
「運の悪い人はすぐ諦める」一方で「運のいい人はできるまでやる」という調査結果も出ています。運の悪い人は
自身の不幸な過去にこだわって失敗から学ぼうとしなかった反面、運のいい人は失敗するとそれを教訓として
未来に生かそうとさらに進めるから、不運を幸運に変えられるのだと分かりました。
最終的な調査の結果をまとめると、実は運がいい、つまり「いいことが起きる確率が高い」のには運がいい人らに
共通の考え方や行動に原因があるということでした。幸運を味方につけるには、運がいい人の考え方を参考にすることが最も重要なのです。
博士も「運のいい人は自分でも気がつかないうちに、幸せで充実した人生を送れるような考え方を身につけて行くのだ」と結んでいます。
これを読んでいる方も、是非幸運を引き付けられる思考を身に付けてみてください。